妊娠・出産で利用する医療機関は最低でも3か所
日本では転院などしない場合は、妊娠から出産まで一つの産婦人科(場合によっては出産は別の病院の場合もありますが)に通うと思いますが、ここアメリカでは、専門性を重視して複数の医療機関を同時に受診します。
クリニック(オフィス)
これは主治医の産婦人科医がいる医療機関で、妊婦の体調管理や出産スケジュールの設定はほぼここで行います。
検査専門機関
遺伝子検査などの血液検査、エコー検査はこちらで行います。エコーの検査技師とエコーを見る専門の医師が常駐しており、エコーで問題が見つかった場合は、主治医を通すことなく(データは共有されます)専門医より説明を受けます。
産院
出産を行う病院。
NYに住む日本人駐在員やその妻のほとんどが大学病院などの大きな病院で出産いたします。ニューヨーク市ですと、NYU(ニューヨーク大学)、Mount Sinai(マウント・サイナイ)、Columbia(コロンビア大)、Lenox Hill(レノックス・ヒル)などが有名です。
その他
そのほかにも、問題点が見つかれば、そのつど専門医療機関を受診する必要があります。
私の場合ですが、第一子の時は赤ちゃん側にリスクが見つかったため大きな病院に何度か足を運びました。第二子の時は私が妊娠糖尿病になってしまったため、カウンセリングや血糖値検査のために糖尿病の専門病院に通うこととなりました。妊娠中だけでそれぞれ5つは医療機関を受診しましたので、妊娠後期になると毎週いずれかの病院の予約が入っていて、とても忙しかったです。
妊娠月数の数え方は日本とアメリカで異なる
妊娠月数の数え方は日本とアメリカで異なります。
妊娠週数の数え方は同じなので、混乱を防ぐためにも週数でカウントすることをお勧めします。また、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期といった区切りも日米で違いがあります。
医療機関を受診する際は、間違いなく週数を使うことになると思います。日頃から週数で数えるクセをつけておいた方がいいでしょう。
また、妊娠32週の時にアメリカ人の知り合いに「今何か月なの?」と聞かれ、「9か月だからあと2か月ある~」と言ったらすごい顔で心配されたので(赤ちゃんのことなのか、アタマのことなのか?)、妊娠週数で答えたほうが無難です。
一般的な妊婦検診のスケジュールと検査内容
初診の時期や妊婦の体調、疾患などの状況により多少変わってはきますが、一般的なスケジュールは下記のとおりです。
表中の太字部分は検査内容を詳しく記載いたしますので、併せてご覧ください。
クリニックの受診と検査専門機関の受診
前述のとおり、妊娠中は最低でもクリニックと検査専門機関の2か所に通う必要があります。クリニックにいる主治医がオーダーを出しますので、妊婦は紹介状を持って指定された検査専門機関へ受診することになります。検査専門機関にいる医師はエコーを見ることを専門とする医師です。
アメリカでは専門医の分業が徹底しているので、専門外の診療はできません。エコーの結果はその場で聞くことが出来ますが、その他のこと、例えば体調の変化や妊婦特有のマイナートラブルについては答えてもらえません。
エコーを行う検査専門機関を受診した一週間後にクリニックを受診するように指示を受けました。
Second Trimesterまでは4週間ごと、30週を超えると3週間後→2週間後→毎週というのが一般的な流れとなります。
検査の内容
簡易エコーとエコーの違い
日本の産婦人科にあるようなエコーは検査専門機関でしか行いません、つまり全部で4回。主治医のいるクリニックで行う簡易エコーは画像はなく、音で確認します。
↓このような簡易的な機械で、心拍を確認します。
8週の血液検査
8週にクリニックで行われる血液検査の採血はなんと10本。小さい試験管とはいえ、その量に驚きました。針を刺すのは1度だけなのでご安心ください。
27週の妊娠糖尿病検査(グルコーステスト)
妊娠糖尿病検査(グルコース耐性テスト)、糖尿病患者の多いアメリカでは妊娠後期に入る直前に全妊婦が受けることになります。
クリニックの予約の2時間前に砂糖の入った甘いドリンクを飲み、採血し、血糖値を測ります。インシュリンの分泌が少ない日本人はこの検査に引っ掛かりやすいのですが、私も例外ではなく引っ掛かり、後日再検査をすることになりました。妊娠糖尿病の話はまた別記事で書きます。
31週の血液検査
第2子妊娠中の2019年はアメリカで麻疹が流行っており、麻疹の抗体検査を受けさせられました。
31週のTDaP予防接種
Tdapとはジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチンのこと。妊婦が摂取することで、新生児の感染を防ぐことができます。季節によってはインフルエンザの予防接種も推奨されます。
36週の血液検査(貧血)
36週には貧血であるか確認する血液検査をおこないました。出産時には大量の出血を伴うため、特別な対応が必要であるか見極めるために事前に検査を行います。
37週の溶連菌検査
溶連菌感染症の検査をしました。膣の入り口に綿棒をこすりつけて行います。陽性だった場合は出産時(産道を通る際)に赤ちゃんに溶連菌が感染する恐れがあるため、陣痛中に6時間おきに抗生物質を摂取する必要があります。
最後に
妊娠期間中は何かと不安が多いもの、ましてや海外でとなるとなおさらですね。不安なことは主治医の先生に質問してください。
私は英語が正しく聞き取れているか不安だったものは、メモにつづりを書いてもらったり、メールで送ってもらうようにしました。
また、英語が不安な方は予約の際に伝えておけば、電話通訳を入れてもらえます。ニューヨークであれば病院が提携している日本人の通訳を派遣してもらえることもありますので、是非確認してみてください。